おはようと挨拶をした後は樋口くんが決まって、『今日も図書館行く?』って言ってくれた。


必ず私が『行く!』って返したら優しく微笑んでくれた。


そんな当たり前の日常は、あの日を栄えに終わりを告げたんだ。


「おはよう、樋口くん」


一度は目が合った。けれど彼は言葉を返すことなく、自分の教室へと向かっていった。


明らかに避けられている。2日前のあの日、夕暮れのなかで私は樋口くんとキスをした。あれは夢だったのか。


何度もそう思ったが、唇に残る感触は紛れもなく現実のものだった。


樋口くんはあの時、私にキスしてどう思ったんだろう?少なくても私は嫌な気持ちにはなっていない。


もしかして、樋口くんは私が好きなのか。それを期待した私がバカだった。軽はずみな行為が結果的に関係を狂わせてしまった。