文化祭本番の日。うちのクラスの出し物は盛大に盛り上がった。
将来の夢を叫んだ人。舞台で告白をしてOKされた人。全力で親に感謝した人。色んな人が居た。
時間も時間だったので、私は学校内をまわることにした。
すると、誰かに後ろから肩を叩かれた。
「はい?」
そうして後ろを振り向くと、そこには龍真が居た。
「龍真、!?」
「よっ」
龍真は汗だくで、でも嬉しそうな笑みを浮かべた。
「何でそんなに汗かいてるの」
「菜槻を探してたんだよ」
私を探していた?龍真が?
「一緒に学校内まわろーぜ」
そう言われ、私の手を掴み引っ張っていった。私の顔は真っ赤に火照っている。心臓はドクッドクッといつもよりも早く高鳴っている。
「菜槻?」
「あ、ううん、なんでもない」
「そうか。何処行きたい?」
「んー、お化け屋敷!」
すると龍真は少し困った顔をした。
「もしかして、龍真お化け怖いの?」
「怖くねぇし!」
そう意地を張りお化け屋敷をやっている1年C組に向かった。


「ぎゃあ!!!!!」
お化け達が脅かしにかかる。
「うわぁっ!?」
「ただの白い服着た後輩じゃん。」
「怖くねぇの、?」
「そんなに」
私はお化けをあまり信じない性分の為、別に怖くはなかった。龍真は私の顔を不思議そうに見つめた。私は目を合わすと照れてしまいそうなので目を逸らす。
「目逸らすなよ」
龍真は私の顎を引き上げた。私は龍真の綺麗な顔をはっきりと見てしまった。顔が火照り、とても恥ずかしくなる。顎クイされるくらいなら一瞬ぐらい目合わせてやれば良かったと今更思う。
そういえばさっきからお化けが出てこない。何かあったのだろうか。
「あれ、お化け来なくね?」
龍真も異変に気づいたようだ。そうして私達は何事も無くお化け屋敷を出た。
後に後輩に聞いてみると、私達がイチャイチャしていた為出にくかったらしい。見られていたのかと思うと、また恥ずかしくなる。