「運が悪ければ、もうエイズを発症していたかもしれない。でも、お互い発症前に判ったんだから、そんなに悲観しないで」

あなたの温かな腕の中は、私が唯一落ち着ける場所。

だからなのだろう。

あれほどパニックに陥ったにも関わらず、あなたの一言一言に救われていく。

「赦してくれるの…?」

「だから、自分を責めないで。あんまり自分を責めると、それこそ怒っちゃうよ?」

優しく言われ、私もあなたにしがみついて泣いた。

それは、決して哀しみの涙などではなかった…。