田舎から上京してきた初の日。
南雲朱莉は、駅を出てからというもの、人の多さに驚いていた。
田舎と言っても、『市』と付いているので『ど田舎』という訳でも無い。
(でも都会の東京からしたら…うちなんて充分、田舎だよなあ)
「それにしても、この人の多さ…。逃げないとなぁ…」
人の多さに流されて、目的地とは違う場所に行ってしまいそうで怖くなる。
「早くこの場所を移動しよう。…あそこにあるカフェで休もうかな」
色々考えながら、未智はスマホでマップのアプリを開く。検索欄に『Cherry blossom』と打ち込む。
朱莉は今日から、『Cherry blossom』に住んでいる人の住み込み家政婦をすることになっていた。前々から約束していたから。
だが、雇用主が誰なのかも分からない。
分かるのは、男の人ということだけだ。
朱莉もまだまだ女子高生なので、不安なところもあったが、仕方なく腹を括ってここにしたのだ。
検索結果が出ると、案内される場所までゆっくりと足を進める。
辺りを見回していると、ビルやタワーがたくさん立ち並んでいて、都心部だと実感する。
今、朱莉が居るこの場所は桜庭区。その名の通り、東京きっての桜の名所として有名らしい。
「綺麗だな。来年もこの桜を見たいなあ」
桜並木の道を歩き、花霞に包まれながら、朱莉はこれから先のことを考える。
まず、学校だ。
学校は明日からあって、声優専門の専科に入学することになっている。
そう、朱莉は声優という職業を目指している高校生だ。
*声優というのは、アニメやゲームなどのキャラクターに『声』で命を吹き込む職業のこと。
目的地が目に入るほど近くなってきた。未来の自分に希望を抱きながら、未智は拳を握りスキップをし出した。
南雲朱莉は、駅を出てからというもの、人の多さに驚いていた。
田舎と言っても、『市』と付いているので『ど田舎』という訳でも無い。
(でも都会の東京からしたら…うちなんて充分、田舎だよなあ)
「それにしても、この人の多さ…。逃げないとなぁ…」
人の多さに流されて、目的地とは違う場所に行ってしまいそうで怖くなる。
「早くこの場所を移動しよう。…あそこにあるカフェで休もうかな」
色々考えながら、未智はスマホでマップのアプリを開く。検索欄に『Cherry blossom』と打ち込む。
朱莉は今日から、『Cherry blossom』に住んでいる人の住み込み家政婦をすることになっていた。前々から約束していたから。
だが、雇用主が誰なのかも分からない。
分かるのは、男の人ということだけだ。
朱莉もまだまだ女子高生なので、不安なところもあったが、仕方なく腹を括ってここにしたのだ。
検索結果が出ると、案内される場所までゆっくりと足を進める。
辺りを見回していると、ビルやタワーがたくさん立ち並んでいて、都心部だと実感する。
今、朱莉が居るこの場所は桜庭区。その名の通り、東京きっての桜の名所として有名らしい。
「綺麗だな。来年もこの桜を見たいなあ」
桜並木の道を歩き、花霞に包まれながら、朱莉はこれから先のことを考える。
まず、学校だ。
学校は明日からあって、声優専門の専科に入学することになっている。
そう、朱莉は声優という職業を目指している高校生だ。
*声優というのは、アニメやゲームなどのキャラクターに『声』で命を吹き込む職業のこと。
目的地が目に入るほど近くなってきた。未来の自分に希望を抱きながら、未智は拳を握りスキップをし出した。
