中条先輩、近すぎます。



金茶色のマッシュヘアの髪は、日の光を浴びてキラキラと輝いていて、さらさらと風に吹かれている。


きめ細やかな肌に、大きな二重のアーモンド型の瞳、すっと通った鼻筋、形の整った唇、眉…。

……確かに顔は整ってるし、女子が騒ぐのも納得だ。

まぁ、そこは一旦置いておいて。

「中条先輩は、防衛隊隊員なんですか?」


私が気になっているのはそれだ。

ちらりと先輩の右手に目をやると、そこには防衛隊隊員だけが持てる、対鬼用の銃がある。

聞いておいてなんだけど、ここまで条件が揃ってたら、もう確定だ。


中条先輩は右手に持った銃を見て、次に私の顔を見てから、口を開いた。


「うん、そうだよ。俺も、防衛隊隊員。」


「そうですか…」


やっぱりそうなんだ…。

今まで同じ学校に防衛隊隊員がいるなんて知らなかったな…。


「彩葉ちゃんもそうだったんだね」

いきなりちゃん付け…しかも名前呼び…チャラいなぁと思ったけど、そのことは顔にも口にも出さず、頭を下げた。

「はい。先程は危ない所を助けていただいて、どうもありがとうございました」


お礼も言えたしもう先輩に用はないので、その場を去ろうと身体の向きを変えた、そのとき。

「またね、彩葉ちゃん」

声をかけられたので振り返ると、笑顔を浮かべひらひらと手を振っている先輩の姿が。

また会うことなんて…と思ったけど、同じ隊員同士だという事を思い出す。

「……はい、また」

もう一度頭を下げて、今度こそ本当に家への道を歩き出した。