鬼は、ギョロリとした目をこちらに向ける。
多分、1秒もなかったと思う。
目があった。
そう脳が理解した時には、引き金を引いていた。
───ドンッ!!
「っ……!?」
鬼は、いとも簡単にひょいと弾を避けた。
それを見たとき、一瞬思考が止まった。
目で追えない速さの弾をとっさに避けるなんて、そんなの不可能に近い。
瞬きを1つした時には、鬼はもう私の目の前にいた。
その距離、約1m。
この鬼、速い……っ!!
なんでもいい、撃ってもいいし、蹴ってもいいし、殴ってもいい。
なんでもいいから、早く。
鬼に打撃を……!
頭では冷静に考えられるのに、身体が思うように動かない。
───ドン!!!
その時、乾いた音──銃声が、響いた。
