あの日から、先輩はちょくちょく、というかほぼ毎日、私のもとへ来る。

とある日は朝玄関で待ち伏せていたり、またとある日は教室にふらりと現れたり、またまたとある日は帰りに下駄箱で待ち伏せていて一緒に帰ったり。

最初は全校生徒から視線を感じたけれど、慣れとは怖いもので、二週間もすると皆はそこまで騒ぐことはなかった。

そして今日、中条先輩は学校を休むらしい。

『ごめん、今日風邪で休む。くれぐれも気をつけてね。油断しちゃダメだよ。』

学校へ向かう電車の中でそんなメールを見つけて、すぐに返事を打つ。

先輩、風邪引いちゃったのか……大丈夫かな。

"くれぐれも気をつけてね。油断しちゃダメだよ。"なんて……自分も風邪引いて辛いはずなのに、私のことなんか気にしなくていいのに…。

『分かりました。風邪、大丈夫ですか?くれぐれも安静にしていてくださいね。』

送信ボタンを押してから、何度も読み返す。

おかしくないかな、大丈夫かな。

考えだすと止まらなくなるので、電源ボタンを押してスマホをカバンにしまった。