中条先輩、近すぎます。


鬼は私たちに撃たれ蹴られ、ボロボロだ。

私を見る目も、最初はいかにも敵を見る目だったのに、今は怯えた目で私を見ている。

これじゃあ、私たちが悪者みたいだ。

鬼は鬼、人は人。

お互いに関わらなければ、奪われることのなかった命がある。

鬼達にとって自分を攻撃してくる防衛隊隊員が悪者でも、私達人間からしたら無差別に人の命を奪う鬼が悪者。ただそれだけの話。


「……ごめんね」

私は、静かに引き金に手をかけた。

◇◆◇

「ん」

そう言って、片手を差し出してきた先輩。

「……?」

一瞬その行動の意味が分からず首を傾げたものの、すぐに理解する。

私も片手を上げ、先輩の手と私の手が重なった。

ぱちん、と小気味いい音がなる。

「お疲れ様」

「お疲れ様です」

夕暮れ時の帰り道を二人並んで歩く。