中条先輩、近すぎます。


「…っ」

私が嫌だった、って…いや嫌だったんだけど。

なんで先輩は気にしないんだ。

なんなの、この先輩。
 
何を考えているのか、よく分からない。


───ブーッ、ブーッ、ブーッ…


その時、左腕につけていたスマートウォッチが震えた。

出動要請だ。

はっとして、はじかれたように先輩と共に走り出す。

鬼が出たのは、すぐ近くの公園だった。

公園ということもあって、体長三メートル程の鬼から逃げ惑う親子が何人もいる。

少し荒れた息を整えながら、銃を取り出す。

横目で先輩を見ると、先輩は銃を構えていた。

……この人数は、一人じゃ守りきれなかったかもしれない。

でも、今日は一人じゃない。


「先輩は、子供達を避難させてください!」

「了解!」

私はすぐに走り出し、鬼の両足めがけて銃を撃つ。


───ドンドン!!

「ぐぅおぉっ……!!!」

鬼が立てなくなっている隙に、更に攻撃を繰り返す。