中条先輩、近すぎます。



様々な会話が飛び交う中、私は何も言えずに沈黙する。


先輩と私の関係なんて、ただの先輩後輩だ。


皆が言っているような関係では全くもってない。

この後どうするつもりなのか、そもそも用がないならなんでわざわざここにきたのか。

私が考えるだけ無駄なので、先輩に直接聞くことにした。


「先輩」


「んー?」

さっきまでうるさいくらいにざわついていた周囲は、会話を一言一句聞き逃すまいとでも言うかのように静かになる。

まさしく注目の的だ。

こうも注目されては聞きづらいなと思ったが、移動するとまた面倒なことになりそうなので、仕方なくここで聞くことにする。


「用がないならなんで私に会いに来たんですか」


先輩は少し悩む素振りを見せてから、言った。
 

「ん~……気になったから、かな」

「…はい?」


気になったから……? 何が?


頭にハテナマークが浮かぶ。

数秒考え込んだ後、私の中ででた結論はというと。



「先輩、私のことが気になって会いに来たんですか?」


ていうか、それ以外ないよね、この状況。

なんで私のことが気になったのかは分からないけど…。