中条先輩、近すぎます。


◇◆◇


次の日、昼休み。

女子たちは友達と机をくっつけてお昼ご飯を食べながら、会話に花を咲かせている。

男子たちはというと、購買のパンを片手にワイワイ盛り上がっている。

…1人ポツンとお弁当を食べているのは、クラスで私、ただ1人。

まぁ、今更だけど。

卵焼きを箸でつまみ、口に入れる。

と、その時。

「「「キャーーーッ!」」」

廊下から叫び声が聞こえてきた。

「っ!?」

その声に、ごくん、と卵焼きを飲み込んでしまう。


───まさか、“鬼”!?


ガタンと音を立てて椅子から立ち上がったものの、ハッとした。

腕につけたスマートウォッチは振動していない。

振動“していない”のだ。

鬼がいたなら、直ぐにでも出動要請が出るだろうし…廊下に鬼はいない、という事になる。

鬼ではないことにほっと胸をなで下ろしつつも、さっきの叫び声はなんだったんだろうとハテナマークが頭を埋め尽くす。

まぁ私には関係ないだろうと結論付けて、椅子に座り直した。