放課後。

私は教室の机に座っていた。

集まった参加者は私を含めて6人。

彩芽は予め準備しておいた紙を取り出した。

「ささっ。早く始めよ〜大地、ここに10円置いて?」

「おう」

真っ赤な鳥居に10円玉が置かれると、みんなはそこに指を乗せた。

「いいか?何があっても終わるまでは人差し指を離すなよ?」

みんなが頷く。
そして、大地がコックリさんを呼び出すための呪文のようなものを唱え始めた。

「コックリさん、コックリさん、おいでください。もしおいでになられましたら、はいへお進み下さい。」

とは言ったものの。
10円玉は一向に動かなかった。
やっぱり、動くわけないよね。

「動かないよー」

そういった時だった。
10円玉がスルスルと紙の上を動き出したのだ。
驚いて指を離しそうになるのをギュッとこらえる。
10円玉は見事、はいに動いた。

「え、動いた……」

参加者の菜々がちょっぴり驚いたような、でも冗談っぽい声音で言った。
菜々は可愛くてクラスでも人気。
特に大地は菜々のことが好きだから、ドキドキしているみたい。

「動いたし、なんか質問してみるか?」

低い声が教室に響いた。
彼は優希くん。かっこよくて、クラスの女子が噂しているのを聞いたことがある。

「そう……だね。誰から質問する?」

彩芽が少し戸惑い気味に言った。

「じゃあ、俺が質問する!」

大地がグハハと笑いながら言った。

「コックリさん、コックリさん、春樹の好きな人は?」

ビクッと参加者の春樹くんが跳ねた。

「うわぁwいきなり?w」

「だってお前教えてくれないじゃーん」

彩芽が苦笑して大地がケラケラ笑う。

そんな緩い空気に関係なく10円玉はゆっくりと紙の上を動き始めた。

10円玉は、ゆ、か、り、と動いた。

「ゆかり……」

私がポツリと呟いて春樹君の顔を見ると、真っ赤になっていた。

「うそ……春樹ってゆかりのことが好きだったの!?えー!意外ー!」

ゆかりとは、隣のクラスの橘ゆかりだ。運動神経が良い、と噂で聞いたことがある。

「ち、ちげーよ。俺ゆかりなんか興味ねーし」

「怪しいなーww」

大地がからかった。

「なんだよ。じゃあ次俺やる。コックリさん、コックリさん、大地の好きな人は?」

「あ!おい!」

春樹君が質問すると、次は大地の顔が真っ赤になった。

10円玉は、まつり、と動いた。

「ほえー。大地はま」