〇めぐみの家の玄関前


抵抗虚しく家まで送ってもらうめぐみ。


めぐみ「(結局、お姫様抱っこのまま連れてこられちゃった)」


九郎「めぐみ、お家に着いたよ」


めぐみ「(それにしても・・・私、道中道案内してなかったのに、なんで私の家知ってるんだろう、この人)・・・連れてきてくれてありがとう、もう下ろしていいよ」


九郎「動けないでしょ?お部屋まで運ぶよ」


気苦労でげっそりとしためぐみに九郎は中まで入ろうとする。


めぐみ「いや、大丈夫だから!ここまで来れば這っていけるし!(さすがにこれ以上抱っこされ続けるのは無理!距離近いし・・・!)」


九郎「ダーメ。めぐみにそんなことさせられないよ。元はと言えば僕が君を巻き込んだせいでもあるんだから」


めぐみをのぞき込むようにして言い聞かせる九郎。


めぐみ「(あ、巻き込んだって自覚はあるんだ)で、でも」


九郎「中、入るよ」


ガラッと扉を開けてめぐみを抱えたまま中に入る九郎。


〇室内、玄関


玄関先はガラッとしていて人の気配がない。


九郎「・・・もしかして、誰もいない?」


めぐみ「・・・父親は仕事が忙しくて滅多に家に帰ってこないから」


九郎「・・・そっか・・・君のお部屋はどこ?」


少し間を置いてめぐみに聞く九郎。


めぐみ「だから、自分で──」


九郎「ダーメ、僕が連れてくの。・・・言うこと聞かないならキスしちゃうよ?」


再びめぐみに顔を近付ける九郎。


めぐみ「っ・・・階段登ってすぐ左側の部屋ですっ」


めぐみは、息を飲んだあとすぐに自分の部屋の場所を早口で言う。


九郎「わかった」


ふふっと笑いながら階段をのぼる。