〇PM18:00 神社の境内


広い境内に走ってたどり着くと、そこには大きい蝶のようなもののけがヒラヒラと飛んでいた。


九郎「あの子・・・だね。めぐみ、気付かれる前にお札を。滅する時の言葉、覚えてる?」


めぐみ「う、うん・・・なんとか」


腰に着けたポーチに手を伸ばし、お札を1枚取る。


そして1歩前に出た時、パキッと枝を踏んでしまう。


その音で2人の存在に気付いた蝶。


ギシャア、と声を上げて威嚇をする。


九郎「気付かれた。めぐみ、警戒して」


身構えるめぐみと九郎。


蝶は、フルフルと体を揺すって粉を振りまく。


めぐみ「(なに、この粉・・・)」


九郎「っ・・・めぐみ、この粉を吸っちゃダメ。体が痺れて動けなくなっちゃうよ」


和服のすそで口元を覆う九郎。


めぐみ「わかってる!」


めぐみも腕で口元を覆い、粉を吸わないようにする。


だけど、蝶が羽ばたき風を巻き起こす。


めぐみ「くっ・・・風つよ・・・前見えない・・・!」


腕を前に出して顔にかかる風を軽減させる。


九郎「このままだともののけの思うつぼだよ」


腕を前に出しているめぐみを見て、声をかける。


めぐみ「わかってるけど・・・!目ぇ開けらんない!」


片目を閉じてなんとか耐えるめぐみ。


九郎「・・・ねぇ、僕にキスしてよ。僕なら簡単に滅することできるよ」


めぐみ「!」


九郎の言葉に昨日のキスされたことを思い出し、カァッと顔を赤くするめぐみ。


めぐみ「・・・それはいや!!」


九郎「・・・そっか、残念」


少し困ったような笑みを浮かべて蝶を見る九郎。