〇翌日、PM5:50 神社前


学校帰り、めぐみはショルダーバックを肩にかけ直しながら神社前に向かって歩いている。


めぐみ「(もののけと戦うか、アイツにキスするか・・・ずっと考えても、キスは無理だよ。恥ずかしいし)」


うつむきながら歩いているめぐみ。


めぐみ「(そもそも、初対面でキスをしろって方が難しいじゃん・・・何考えてるんだろ、あの九郎って人)」


神社前に到着し、手を顎に当てて考え込むめぐみ。


九郎に頬に手を添えられキスされたことを思い出す


めぐみ「っ〜!!(なんっであの時のこと思い出すのよ〜!!)」


顔を赤くしながらしゃがみこみ、頭を抱えるめぐみ。


そんなめぐみの元に、和服を着た九郎が歩み寄ってくる。


九郎「早いね、めぐみ。・・・どうかしたの?」


頭を抱えているめぐみに困惑の表情を浮かべる九郎。


その言葉で、めぐみは顔を上げた。


めぐみ「なっ・・・なんでもない!」


慌てて立ち上がり、何も無かったように振る舞うめぐみ。


そんなめぐみの姿を見て首を傾げた九郎。


九郎「それより・・・決めた?」


表情を一変させ、真剣な表情になる九郎。


めぐみ「(やっぱり聞いてくるよね・・・でも、答えは決まった)・・・やるよ、もののけ退治」


九郎「・・・そっか」


残念そうに眉を下げてつぶやく九郎。


九郎「めぐみが決めたことだから、僕は否定しないよ。でも、いつでもキスしていいんだからね?」


めぐみ「しません!」


ムキになって返事をするめぐみ。


そんなめぐみを見て、微笑む九郎。


九郎「じゃあ、これを渡さなきゃね」


九郎が差し出したのは四角いポーチにベルトが通されている。


その中には、お札らしきものが沢山入っていた。


めぐみ「なにこれ」


九郎「お札だよ。これを使わないと滅することは出来ないからね。ベルトを通してあるから腰に巻いておくといいよ」


めぐみ「う、うん」


九郎からポーチを受け取り、言われるがまま腰に装着する。


九郎「それから、これ」


めぐみ「これは?」


手渡される小さい防犯ブザーのようなベル。


めぐみは首を傾げながらそのベルを見つめた。


九郎「邪悪なもののけに反応して知らせてくれるベル。これも肌身離さず持ってるんだよ」


めぐみ「こんなものでもののけが出たかって分かるの?」


九郎「僕がいつも使っていたものだからね。精密性は確かだから大丈夫だよ」


めぐみ「ふーん・・・ちなみにどんな音がするの?」


目線をベルから九郎に移す。


九郎「そうだね・・・例えるなら──」


ピッピッピッピッ・・・!


九郎の話の途中にベルが振動しながら音が鳴る。


その音に、めぐみはびっくりする。


九郎「・・・こんな感じ」


めぐみ「えっ、鳴ってるってことは・・・もののけが出たの!?」


九郎「そうだよ。境内に行こう。あそこがもののけが現れるスポットだよ」


淡々と答え神社の階段を登っていく九郎。


めぐみ「ちょっ・・・待って!」


九郎のあとを追いかけ、階段を駆け上がるめぐみ。