〇神社の階段前


九郎「本当は僕がやってたことなんだけどね、さっきのキスで君に僕のもののけを滅する能力が引き継がれちゃったんだ」


めぐみ「・・・・ってことは、私がそのもののけを滅しなきゃいけないってこと・・・?(さっきみたいなのを・・・ずっと?)」


状況が呑み込めないながらもなんとか状況把握をするめぐみ。


九郎は、少し首を傾げて困った笑みを浮かべる。


九郎「その能力を持つものの宿命なんだ。君には悪いけど・・・才能があったからね」


めぐみ「才能?」


九郎「うん。君、霊感あるだろう?じゃなきゃ、もののけは見えないからね」


人差し指を立てながらめぐみを見て話す九郎。


その言葉に、めぐみはハッとした表情をみせる。


めぐみ「・・・あれって見えないの・・・?」


九郎「うん。普通の人には見えないよ。君は霊感があったから見えたみたいだけどね」


その言葉で、落胆の表情をみせるめぐみ。


めぐみ「(見えること・・・ずっと・・・ずっと隠してきたのに・・・しかも、急にもののけ退治をしろ、なんて言われても・・・)私には・・・できないよ・・・」


九郎「逃げたい?」


めぐみ「えっ、逃げれるの!?」


絶望からの希望、期待に満ち溢れた表情を浮かべるめぐみ。


そんな彼女に、優しく笑みを浮かべながら頷く九郎。


九郎「その宿命から逃げたいなら僕にキスするしかないよ」


めぐみ「・・・え?」


九郎の言葉で驚いた表情を浮かべるめぐみ。


キスするしかないという言葉で、さっきのキスシーンが頭をよぎる。


めぐみ「ふざけないでよ!なんで私が・・・!?」


九郎「ふざけてないよ。能力を受け渡すにはキスをするしかないんだ。・・・どうする?宿命を背負う?それとも、僕にキスをする?・・・僕的には、キスしてもらった方が嬉しいけど」


薄く笑みを浮かべながらめぐみに尋ねる九郎。


めぐみはその言葉で考え込む。


めぐみ「(あんな物騒なもののけを退治するなんて私には無理!・・・だけど、この人にキスをするのはもっと無理!!)」


九郎「すぐに決めてとは言わないから。明日18時にここへ来て答えを聞かせて」


そのままめぐみに背を向けて歩き出す九郎。


九郎「いつでもキスしていいからね」


立ち去り際、そう言い残していく九郎。


めぐみは、その場に立ち尽くしていた。