〇神社の階段前


めぐみ「き・・・消えた・・・」


膝から崩れ落ち、座り込むめぐみ。


手のひらを見つめると、カタカタと震えていた。


めぐみ「(今になって震えが・・・)」


九郎「よくできたね。偉いよ」


体を起こし、めぐみに近付いてくる九郎。


めぐみはそんな彼のことをみて距離をとった。


めぐみ「(この人、急にキスとかしてくる人だもん・・・あんまり近付いちゃいけない・・・!)」


九郎「自己紹介がまだだね。僕は九郎(くろう)。君は?」


めぐみ「・・・佐原めぐみ」


警戒するように九郎を見ながら自分の名前を言う。


九郎「めぐみ、か。良い名前だね」


傷を押さえながら1歩、1歩と近付いてくる九郎。


九郎「悪いんだけど、これを使って僕の傷を直して欲しいんだ。自分でやろうとしたけど完全に力は君に渡ったみたい」


再び和服の胸元に手を入れ、お札をだす九郎。


めぐみ「(能力が渡ったってどういうこと・・・だけど、こんな傷だらけなのは、放っておけないし・・・)」


少しの間を置いて九郎の差し出したお札を受け取るめぐみ。


九郎「そのお札を僕にかざして。それだけで傷は癒えるから 」


めぐみ「・・・わかった」


言われるがまま、お札を受け取り九郎にかざす。


お札が光を放ちながら傷もどんどん癒えていく。


最後の傷が塞がった時、お札から発せられてた光は和らぎ、消えていく。


九郎「ありがとう。めぐみ」


優しく微笑みながらお礼を言う九郎。


その表情に、少し驚くめぐみ。


九郎「それとね。めぐみ、君には今日からもののけ退治をお願いするよ」


めぐみ「・・・は?(もののけ退治・・・?なに、それ・・・)」


九郎の言葉に困惑の表情を浮かべるめぐみ。