〇神社、境内


激しくぶつかり合い、お互いか傷を負ってる九郎とルカ。


結界の中にいるめぐみは、九郎が勝つ事を祈っている。


ルカ「そろそろ限界だろ!?九郎!!」


九郎「それはそっちもでしょ、電気の出力が落ちてきてるよ!」


ルカの攻撃をかわし、お札を投げつける九郎。


だけど、ルカは腕を振り払ってお札を弾き落とす。


もう1枚お札を取り出そうとした九郎が、動きを止める。


ポーチの中には、もうお札は残っていなかった。


ルカ「・・・はん、札が尽きたか。終わりだな!!」


勝ちを確信したルカは距離をつめて九郎に電撃を食らわせる。


九郎「ぐっ・・・!」


地面に倒れ込む九郎。


めぐみ「九郎!!」


結界に手を付き、九郎を心配するめぐみ。


倒れ伏した九郎。


だけど、九郎の表情に絶望の色は無い。


ルカ「・・・これで・・・これで、ようやく仇を討てる・・・!!」


上がりきった息を整えるように上下に動く肩。


遠くに倒れた九郎に向かって歩き出すルカ。


ルカ「・・・これでお前の無念を晴らせるぞ、エマ」


九郎「・・・終わり、だね」


体を起こしながら、ポツリと呟く九郎。


ルカ「あぁ、テメェの面を見なくていいと思うと精々するぜ」


めぐみ「九郎!九郎っ!」


ドンッドンッと結界を叩き、外に出ようとするめぐみ。


だけど、結界は壊れない。


慌てた様子で結界を叩くめぐみを見て、愛おしそうに笑う九郎。


ルカ「別れの言葉、済ませとけ。最愛の人との別れはツレェもんだからな」


九郎「ふふっ、ルカのくせに優しいね。でも、そうだな・・・会えるといいね。彼女に」


そう言ったあと、手を伸ばす九郎。


九郎「全ての護符よ、悪しきものを滅せよ!!」


そういうと、ルカの周囲の地面に落ちていたお札が光り輝いた。


ルカ「なっ、なんだ!?」


九郎「・・・君とは・・・いつか、関係をやり直せると思ってたんだけど・・・残念だよ」


前に伸ばした腕を振り上げると同時に、お札が宙に舞う。


九郎「バイバイ、ルカ。彼女に、会えるといいね」


まばゆい光を放つお札が中央に立つルカに向かって収束する。


ルカ「ぐわぁあっ!!」


ゆっくりとだが、足元からハラハラと消えていくルカ。


ルカ「・・・テメェ!!最初からこれが狙いだったのかぁ!?」


九郎「うん。ごめんね」


困ったような笑みを浮かべる九郎。


ルカ「クソォ!許さねぇ!!許さねぇぞぉっ!!」


九郎「許さなくていいよ。元々、そんなつもりはさらさらないからね」


頭を抱えて雄叫びをあげるルカに淡々と告げる九郎。


九郎「僕的には彼女のいないこの世界に居続けるよりは、滅される方がマシだと思ったから」


ルカ「チッ・・・なにを知ったような事を・・・!!・・・だが・・・まぁ、そうだな・・・」


チリチリと上半身が消えていくルカ。


そして、顔が消えていく。


ルカ「・・・会いてぇな・・・アイツに・・・」


悲痛な声と共に全てが消えていくルカ。


九郎「会えるよ、きっと」


完全に消えたあと、ルカがいた場所に向けて言葉をかける九郎。