〇神社の境内


九郎と共に買い物に行ってから2ヶ月が経った。


毎日のように湧いてくるもののけを、九郎と共に倒していくめぐみ。



九郎にキスをねだられながらも、自分で滅していく。


そして、今日も今日とてもののけを倒していた。


九郎「めぐみ!今だよ!」


めぐみ「護符(ごふ)よ、その力を持ちて悪しきを滅せよ!」


お札の文字が光り始め、それをもののけに対して投げつける。


もののけに当たり眩い光を放ちながらキラキラと消えていくもののけ。


めぐみがホッと息をつくと、九郎が近寄ってくる。


九郎「めぐみ、お疲れ様」


めぐみ「お疲れ〜」


ポーチを締めながら九郎に近寄るめぐみ。


めぐみ「なんか・・・今日もののけ、やけに多くない?」


腕で顔についた土を拭きながら九郎に聞くめぐみ。


九郎「確かに多いね。もうこれで7体目だし」


顎に手を当てながら考え込む九郎。


九郎「やっぱりおかしいよね・・・嫌な予感がするし」


めぐみ「嫌な予感?」


ビーッ、ビーッ、ビーッ、ビーッ!!


めぐみがそう口にした時、いつもとは違うベルの音が鳴り響く。


めぐみ「!なに、この音!?聞いたことないんだけど!?」


九郎「まずい・・・!!伏せて!!」


めぐみを押し飛ばすように抱きつき、地面に倒れ込む九郎。


その瞬間、ドォンという音と共に元々めぐみ達がいた場所に雷が落ちてくる。


雷とともに姿を現したのは、狐のようなケモ耳としっぽが生えたガタイの良い男だった。


体を起こし、めぐみを背に庇うようにしてその男を睨みつける九郎。


九郎「何しに来た・・・!!ルカ!!」


怒り心頭、といった面持ちで声を張り上げる九郎。


九郎が“ルカ”と呼んだ男は、ニヤリと口元を緩めた。


ルカ「おうおう、ずいぶんなご挨拶じゃねぇか。九郎!」


めぐみ「(誰・・・?九郎の知り合い・・・?にしては、九郎の表情が固いし・・・それに、こんなに怒ってる九郎、初めて見る)」


ルカ「なぁに、ちょっとテメェの面を拝みに来ただけだ。無様な姿の、テメェのな!!」


そういうと、懐から扇を取りだし振りかぶるルカ。


すると、どこからともなく雷が降り注ぐ。


めぐみを抱えて飛び前転をしてかわす九郎。


すぐに立ち上がり、めぐみを立ち上がらせる。


めぐみ「(なに、何が起こって・・・!?)」


状況が読めないめぐみは、九郎に寄り添うことしか出来なかった。


九郎「僕は君と戦うつもりは無い!!戦いたくないんだ!!」


ルカ「こっちはテメェをぶっ潰したくて仕方ねぇんだよ!!元友達だった俺の恋人を滅した、テメェだけはなぁ!!」


めぐみ「元友達・・・?恋人を滅した・・・?どういうこと!?九郎!!」


驚きつつ九郎を見つめるめぐみ。


九郎は、観念したように口を開いた。


九郎「前に、僕が原因でもののけが増えたって話、したよね。・・・それはね、もののけの総大将であるルカの恋人を僕が滅したからなんだ」


めぐみ「・・・え」