〇夕方、神社の階段前


パフェを食べ終えた2人は、一旦解散し各々家に帰った。


そして、再び神社の階段前で待ち合わせをしていた。


和服に着替えた九郎が先に来ていて、歩いてきためぐみを見つける。


九郎「めぐみ」


めぐみ「随分早いね。まだアラートなってないよ?」


歩み寄りながら九郎に声をかけるめぐみ。


九郎「鳴ってからじゃ遅いからね」


九郎も、2、3歩めぐみに近付きながら微笑みかける。


めぐみ「そういえば・・・さっき聞きそびれたんだけどさ。・・・九郎が原因でもののけが増えたって話・・・あれ、どういうこと?」


九郎「・・・そこ、気になっちゃう?」


答えにくそうにしながら、苦笑する九郎。


めぐみ「うん。何があったのか知りたい」


九郎「・・・そっか」


和服の裾に両手を隠しながらうーんと唸る九郎。


九郎「・・・じゃあ、めぐみからキスしてくれるなら教えてあげようかな?」


自分の唇をトントンと指さしながら甘えるように首を傾げた九郎。


めぐみ「ちょっ・・・ふざけないでちゃんと答えてよ!」


少し顔を赤くしながら、ムキになって聞くめぐみ。


九郎「あらら、誤魔化されてくれないか」


めぐみ「そんなに言い難いこと?」


頭を掻きながら悔しそうに呟く九郎。


そんな彼に首をかしげて訪ねるめぐみ。


九郎「そうだね・・・今は・・・言えないかな」


困ったように笑いながらめぐみを見つめる九郎。


めぐみ「どうしても?」


九郎「うん。どうしても。・・・でも・・・めぐみには、いつか聞いて欲しいとも思ってる。でも、今じゃない。・・・その時が来るまで、待ってくれる?」


めぐみの問いに、首を傾げながら訪ねる九郎。


めぐみ「(九郎の困ったような表情・・・すごく、言い難いことなんだろうな)・・・わかった、今は聞かない。でも、話せる時が来たら誤魔化さずに話してよ?」


九郎「・・・わかった、ありがとう」


ホッとしたような表情でめぐみを見る九郎。


そんな九郎を横目で見るめぐみ。


めぐみ「(あの九郎が言い難い内容、か・・・。すごく気になるけど・・・九郎を困らせる訳にはいかないし、気長に待つしかないかな)」


ふぅ、と溜息をつきながら、別の話題を振り始めるめぐみ。



その後も警戒しながら見回りをしたけど、珍しくもののけがくることは無かった。