〇ショッピングモール


買い物を済ませて、ショッピングモールを2人で手を繋いで歩く。


九郎「良かったね、いいものが見つかって」


めぐみ「探すの大変だったけどね」


買った服が入っている袋を見ながら苦笑するめぐみ。


九郎「可愛い服が多すぎて誘惑されてたもんね」


めぐみ「ああいう服似合わないだろうけど欲しいなって思ってたんだもん」


袋を揺らしながら歩くめぐみ。


九郎「似合うから買えばよかったのに」


会話の途中、カフェの前を通る。


九郎は、めぐみからカフェへと視線を移した。


九郎「めぐみ、ずっと立ちっぱで疲れたでしょ?ちょうどカフェあるし寄ってかない?」


カフェの前で立ち止まる九郎。


手を繋いでいためぐみはクイッと引っ張られるようにして立ち止まった。


めぐみ「え?うん、いいよ。ここのカフェ、丁度気になってたんだ」


九郎「決まり。行こ」


手を引かれながらカフェの中に入っていく2人。


〇カフェ 室内


カランカラーンと扉を開けると共に音が鳴る。


店内は緑を基調とした落ち着いた雰囲気。


店員「いらっしゃいませ、何名様ですか?」


女店員が笑顔で出迎える。


九郎「2人です」


店員「2名様ですね。ご案内します」


店員の後をついて行き、空いている席に腰掛ける。


店員「こちら、メニューになります。お決まりになりましたらそちらのベルでお知らせ願います」


そう言って店員はお辞儀をして去っていく。


メニューを広げてめぐみにも見えるように置く九郎。


九郎「めぐみ、何頼む?」


めぐみ「(結構いっぱいあるな)えっと、紅茶と・・・このパフェ!!気になってたの!」


そう言って、広げられたメニューの端にあるパフェを指さした。


指さされたパフェをよく読む九郎。


そこには小さく“カップル限定”と書いてあった。


九郎「ふふ、そうだね。僕は甘いもの好きじゃないから食べないけど・・・めぐみが食べたいなら頼もうか」


楽しそうに笑う九郎、たのしそうな様子の九郎を見てハテナを浮かべるめぐみ。


注文が決まりベルを押す。


しばらくすると、先程の店員さんが電卓のような機械をもって現れた。


店員「お待たせしました。ご注文をおうかがいします」


九郎「このパフェを」


メニュー表を指さしながら注文をする九郎。


店員「そちらはカップル限定パフェでございますが問題ありませんか?」


めぐみ「かっ・・・!?(カップル限定!?そんなこと書いてなかったじゃん!)」


カップル発言に口をパクパクさせるめぐみ。


九郎「平気です。あと、ブラックコーヒーと紅茶を」


めぐみ「えっ!?九郎!、(カップルしか頼めないのになんで頼むの!?)」


店員に視線を向けている九郎に慌てながら止めようとするめぐみ。


だけど、店員の方を向いたまま話を進めていく九郎に、何も言えなくなってしまう。


店員「かしこまりました。少々お待ちください」


注文を終え、店員が去っていく。


めぐみ「なっ、なんであのパフェ頼んだの!?」


店員がいなくなったタイミングでめぐみが顔を赤くしながら抗議する。


九郎「めぐみが食べたいって言ったんでしょ?」


めぐみ「だっ、だからって!確認されてるのにそのままOKするなんて・・・!!(これじゃあ私達がカップルってことになっちゃうじゃん!)」


九郎「カップル認定されちゃったね」


フフッと、嬉しそうに笑う九郎。


その顔を見て何も言えなくなってしまうめぐみ。


九郎「それに、メニュー表にちゃんと書いてあったよ?だから、めぐみも知ってて頼んだのかと思ってた」


めぐみ「か、書いてあったの・・・?」


九郎「うん。小さくだけどね」


めぐみ「み、見えなかった・・・(うー・・・書いてあったのぉ〜!?もっと大きい文字で書いてよ〜!)」


頭を抱えて項垂れるめぐみ。


そんなめぐみを見て愛おしそうに笑う九郎。