〇翌日、ショッピングモール


めぐみ「(確か、この辺りの銅像前で待ち合わせだったよね)」


スマホを確認し、九郎からのメールを確認する。


待ち合わせ時間の10分前だ。


めぐみ「(いつ交換したかわかんないぐらいスマートに連絡先聞いてきたんだよね。まぁ、わたしも交換した方がいいと思ってたからありがたいんだけど)」


そんなことを考えながら、スマホをしまう。


銅像の前まで行くと、そこには既に九郎の姿があった。


いつもの和服ではなく、パーカーに黒のジーンズを履いていて、スマホを見つめていた。


めぐみ「(和服じゃない九郎、2回目だ)九郎!」


九郎「!めぐみ」


めぐみの声に顔を上げる九郎は、やわらかい笑みを浮かべる。


めぐみ「ごめん、早く来たつもりだったんだけど・・・待たせた?」


九郎「うん、待った。そのお詫びに、キスしてもらおうかな?」


トントン、と口元を指差して余裕の笑みを浮かべる九郎。


めぐみ「だから!しないって!(何かある度にキスしてって言うし・・・!一体何考えてるの!?)」


九郎「僕のこと待たせたのに?」


首を傾げながら薄く笑みを浮かべる九郎。


めぐみ「そ、それは・・・(それを言われるとなにも言い返せないけど・・・!)」


九郎「・・・なんてね、冗談だよ。ほとんど待ってないし」


言い淀むめぐみを見て、愛おしそうに笑う九郎。


めぐみ「もう!早く買いに行くよ!」


ズカズカと大股で歩き出すめぐみ。


九郎「ふふっ、ごめんごめん」


めぐみを追いかけるようにして九郎も歩き出す。


人混みの中隣に並び、歩き出す2人。


九郎「めぐみ。どの服が欲しいの?」


めぐみ「うーん・・・あの時破れた服は運動着みたいなものだったから動きやすい服かなぁ(可愛い服も欲しいけど、多分今後も服が破れるってこと起こりそうだし・・・動きやすい服の方が必要になってくるもんね)」


顎に手を当てながら考えるめぐみ。


九郎「わかった、じゃあ行こうか」


そういうと、めぐみの手を取る。


めぐみ「!九郎!?」


九郎のとった行動に驚きながら立ち止まり九郎を見つめる。


九郎「人が多いからはぐれないように手を繋いでおこうかと思って。・・・ダメ?」


立ち止まっためぐみに首を傾げながら聞く九郎。


めぐみはその顔を見て少し照れながら下を向いた。


めぐみ「・・・別に、ダメじゃないけど・・・」



九郎「良かった。行こう」


嬉しそうな表情を浮かべながら、歩き出す九郎。


それに釣られるようにしてめぐみも下を向いたまま歩き出した。