走る。走る。走る。
体育館の鍵を閉めて勢いよくスタートを切った。中庭を突っ切って校舎の中に入ると、靴を履き替えて階段を飛ばし飛ばしで駆け上がる。最上階の4階に着くと、廊下の端から端まで猛スピードで走り抜けた。
ガラガラガラッ。チャイムが鳴る1分前。ギリギリセーフ。
「おはよー、ごさまいまーす」
肩身を狭めながら控えめに挨拶。これでも最大限の申し訳なさを示しているつもりだ。
「おーい、天野」