コードの歌声を真正面から受けて、頭によぎったのは
圧迫死。
前回のステージの比じゃない。
すべてが重い。
荒々しい歌い方じゃないのに迫力が半端ない。
声何種類あるんだよ。
音程も声質も完璧。
それに、目がコードの目だ。
「かかってこいよ、Cyan」
そう言わんばかりの目。
本気だ。
覚悟も、想いも、全部乗ってる。
コードのターン終わると軽く指で煽られる。
♪♬♪♪ーー♩‼‼
最初からギア上げだ。喉がさっきよりも開いているから歌いやすい。でも、いつもの調子じゃ潰される。できる限り強く。アレンジも入れつつ、観客を巻き込みながら客に合いの手を要求。
♪♬♪♪♬♪ーー♪♬!
僕の歌に被せて歌を重ねてくるコード。
クッソ、性格悪いな!
同時に歌うとどうしても声がかき消されてしまう。こうなったら…、
♩♪♬ーーー‼
キーチェンジ。もともと-3で歌っていたものを原キーに戻す。
低音VS低音じゃ僕は負ける。だから高音域で対抗する。喉潰し覚悟だ。
「5,4,―」
MCの人がカウントする。もうすぐ終わりだ。最後まで歌い切れっ。
「終了―っ!」
「…はぁっ!…っ……はぁ……はぁっ!」
歌い切ったけれど、もう無理。辛い。……呼吸が乱れる。酸素が足りない。
「見事なバトル!さあ、ジャッジに参りましょう!はじめ、Cブロック、ジュンー!」
拍手する客、名前を呼ぶ客。色々あるが一回戦のときよりかは大きかった。
「続いてDブロック、シュートー‼」
これ…………どっちだ。
マジで分からない。同じくらいの拍手と歓声。2人でMCに視線を向けた。MCも状況に戸惑っているのか、裏でDJの人と話している。そして、興奮した様子でマイクを通した。
「これは………、ドローだ!」
―「シュートがドローだってよ⁉」
―「ジュンって子すげぇな!」
観客がどよめいた。ドロー?ジャッジ判定不可能だったてこと。ということは、延長戦…………。こんなにやって、これでやっとドロー?
「ククっ…あぁ~っ、マジぃ?」
笑い声が聞こえ、コードのいる方を向いた。1人で何かぶつぶつと話している。
何を、言っているんだ。
するとシュートはバッと勢いよく顔を上げて叫んだ。
「…最ッッ高じゃん!おいお前らぁ!もっと盛り上げろぉぁ!」
―――わああああああああ!
シュートの掛け声に観客が一斉に盛り上がる。
コードはこっちを向いてずっと笑っている。
いつもの笑顔じゃない。
狂気的な、獣みたいな目。
「DJさーん、早く始めましょ~ぉ?今、マァジでアガッてっからさぁ~」
ドローってことはコードと互角にやり合えたってこと。
やるしかない。覚悟を決め、マイクを構えた。
「これは前代未聞の展開!それでは延長戦行きましょうっ!バトル…スタァートっ!」
