声の主は長澤さん。
真顔で涼たちの方へ向かってくる。怜斗はビビったのか恭也の後ろに隠れた。長澤さんは目の前で止まると夏樹の方を見た。
「右から、ドラムの涼、ベースボーカルの怜斗、ギターの恭也です。」
と、夏樹は紹介をした。
「こ、こんばんは。」
「………。」
3人は何を話せばいいか分からず、顔を見合わせた。すると、
「長澤だ。いつも夏樹が世話になってるな。」
そう挨拶をされた。その言葉に涼が、
「いえ!お、お世話になっているのはこっちの方です!夏樹、めっちゃ上手くて俺たちにもたくさん教えてくれて、」
焦って早口になる。その様子に長澤さんは「そうか」とクスっと笑った。それから、長澤さんはちょっと待ってろ、というと何かを取りに行った。
「ん。」
そう渡されたのは紙袋。中には、
「え、」
ベースの替え弦、ピック、ドラムスティック、更には楽器の清掃用具まで。
「何で……、」
みんなで驚いた。スティックとか弦とか地味にお値段高いのに。貰っていいのか。
「土産だ。」
「いいんですか?」
「学生は万年金欠だろうが。甘えておけ。」
そして今日はありがとうな、と一言いうとまた裏に戻っていった。
「よかったな。」
夏樹が隣で静かに笑った。
