今日は約束のMidnightのステージを見に行く日。
そこに行くってことはまたあの繁華街を通らないといけない。そう思うと涼は少し怖い。駅で夏樹と合流して向かう。
「じゃあ行こうか。」
そう言うと夏樹は先頭で歩き始めた。今日の夏樹は何というか、大人っぽい。黒のカーゴパンツに半袖のハーフジップパーカー。そして耳には……、
「え、それピアス?」
涼が聞く。
「あぁ、これ。中3のときに開けたんだ。学校では髪で隠してるからピアスホールは見えないよ。」
「やっぱ不良だぁ!」
怜斗が大げさに指をさす。やっぱり学校で開けてる人っているんだ。夏樹は確かにやりそうなイメージあるな……。
そんなことを話しながらMidnightへ向かう。まだ18時前なのにもう酔っ払いがいる。ビクつきながら歩いていると察したのか夏樹が
「ストリート入れば安全だからもうちょっと我慢して。」
そう言ってきた。あとから聞いたが、この繁華街を抜けてストリートに入ることも可能らしい。だが、やはり治安の問題があるから人や店がないこの隠し通路を使っているんだと。細い路地を抜けると上のアーチには「Musicstreet」の文字。
……音楽が鳴り響いて、カラフルな看板が光っている。そこから少し歩いて黄色のネオン看板がある店に入る。
カラン。入口の鈴が鳴る。
ほんのりと香る酒の匂い、通路の壁にはここに来たであろうアーティストのサインやステッカー、ポスターなどが隙間なく貼られている。前に来たときはこんなによく見れなかった。
右手奥にカウンター、左前に楽器類、そして中央正面にステージ。カラフルな照明に照らされながらバンドマンの人が歌っている。観客も大勢。
(夏樹は、こんなところで小さい頃から演奏していたのか……。)
涼は改めて夏樹のすごさを感じた。
「あれ?ナツじゃん!」
後ろから声が聞こえて振り返る。
「佐々木さん。」
夏樹はそういうとその人と話始めた。しばらくすると佐々木さんという人がこちらを見た。
「ところでナツくん、あの子たちは?」
「俺らー」
夏樹のバンドメンバーです。そう言おうとした。だが、夏樹の口から出た言葉は意外なものだった。
「仲間です。」
……え。仲間?はっきりそういった。
言った!夏樹が!
俺らのこと仲間って言った!
嬉しさで口元が緩む涼。その反応を見た怜斗と恭也が背中をド突く。
