Dying music 〜音楽を染め上げろ〜



「それより」



恭弥が2人に話しかけた。




「どうすんの?人集め。」





・・・・・・・・




「ワスレテタ。」




間を置いたあとに片言で涼が答える。


「はぁ、しっかりしろよ。一応お前がリーダーだろ。」


恭弥がため息をつく。



「でもそうだよ。マジで人集めどうするんだ?」

「署名は友達に回してもらって集まったけれど、楽器できないから入部はしたくないって言っててさ。」




楽器。




3人の共通の趣味はズバリ、音楽。



中学まではたまにセッションするくらいだったのだが、高校から本格的にバンドを組み始めたのだ。だが、自分たちだけでやるというわけではない。

彼ら新しく高校に軽音楽部をつくろうとしている。新しく部活動を創設するにあたり、署名は何とか集まった。段階的にはあと一歩のところまで来ているのだが、初期メンバーとして最低4人が必要でそのあと1人を探している。

署名に協力してくれた人を勧誘してみたものの涼が言った通り、「楽器未経験」という理由により誰一人として入ってくれる様子はない状態だ。




♪キーンコーンカーンコーン




予鈴が鳴って急かされるようにクラスのみんなが席に着き始める。



「じゃあまた昼休みな!」


2人はそのまま自分たちの教室に戻る。




しばらくして担任が入ってきた。出席簿を広げて確認をする担任。だが涼は窓の外を眺めているだけ。花弁が散って緑づいた桜の木が目に入る。



「ええと、今日の休みは~、…如月だけだな。」



今日も、か。



涼の4つ後ろの席。ずっと空いたままだ。名字が如月ってことは珍しかったから覚えていた。しかし、入学式があったばかりだからクラス全員の顔と名前がまだ一致していないので下の名前も顔も知らない。


それよりも、涼はバンドのことで頭がいっぱい。部活動を作るための期間も限られているからなるべく早く見つけたいという気持ちはある。



(また作戦会議だなあ)