「遅っせぇな。」
数学の授業後、涼は昼食を一緒に食べるために2人を待っていた。しかし、一向にやっていくる気配はない。水曜日の3限後、恭弥がいる2組は体育だから許そう。怜斗はどうした。また職員室か。入学早々再テスト常連組らしいし。それかワンチャン購買並んでんのか?せっかく軽音楽部のことを話し合おうって約束していたのに。これじゃあ昼休み終わっちゃう。
(先食ってようかな。)
そう思って弁当を開けようとしたとき、後ろの方から会話が聞こえた。
――「ねぇ色葉、今日もキサランのところ行かない?」
「キサランって…夏樹のこと?また変なあだ名つけて。」
「ナッツって呼んだらダメって言われたから名字の如月からとった。」
「また却下されると思うよ~?」
如月って人、ナツキっていうんだ。爽やかな名前だな、そんなことを思ってるとさらに会話が聞こえた。
――「いいから行こ!だって今日、――――――
ギター弾いてくれるって言ってたじゃん?」
……え?
涼はその言葉を聞き逃さなかった。
――「そういえばそうだね。じゃあ行こ!私お弁当持ってくるね。」
「何弾いてくれるんだろ〜!楽しみ!」
そう話しながら教室を出ていくそ様子を見て1人で慌てた。
(ギター弾けるって言ったよな?如月って人ギター弾けるのかよ?)
楽器できる人がいた。とりあえず、声だけはかけたい。同じ1年生で同じクラスなら尚更だ。こんなチャンスないぞ。涼は椅子から立つと2人を追いかけた。
「あれ、涼昼飯は?」
丁度教室に来た怜斗たちと出くわす。
「悪い、用事できたから先食ってて!」
「え、おーい?…どうしたんだろ?」
「好きな子に告りにでもいったんじゃね?」
「ブッッッ、まさかw」
