Dying music 〜音楽を染め上げろ〜





目ん玉飛び出るかと思った。




「失礼しまーす。」



あの前に鉢合わせた3人が揃って来たんだ。浪川先生はしばらく話すとこちらに向かってきた。



「如月さんに用があるそうよ。」

「え、どうしてですか。」

「少しお話、だそうよ。私は隣の部屋にいるから何かあったら呼んで。」



そのまま先生は行ってしまい、1人取り残された。

え?何で僕?何の要件で?先生も行っちゃうし。

そうこうしているうちに3人がテーブルの方へ来た。今すぐこの空間から出たい。椅子に座っても3人は一向に喋ろうとせず、タドタドしているだけだった。痺れを切らしてこちらから話しかける。



……



「………何の用?」



声を出したら案の定驚かれた。でもそのあと返ってきたのは予想もしていなかった言葉。



「如月くん、軽音楽部に入ってくれないかな。」






………は?


……………意味わからない。何、こいつら。



「入らない。」




速攻で返事した。何で僕がお前らの中に入らないといけないんだ。明らかにお前ら仲良さげじゃん。その輪に僕を入れる?



「何で?理由は?」


と、キョウヤとかいうやつが聞いてくる。


「入りたくないってのが理由。自分の意思。」


冷たい口調で言い返す。



どうして入らないといけない。ちゃんと話したの今日が初めてだぞ。ただの人数集めにしか聞こえない。構ってられなくてリュックを持つと先生に挨拶して保健室を出た。


マジで何あいつら。急に来て部活入ってくれって。




バス停に向かう途中、ふと昔の記憶が頭をよぎった。







――『やっぱり俺らあの子とは無理です。』

  『レベルが違うんですよ。』

  『中学生相手にするとこっちが気使っちゃって演奏がばらけるんです。』

  『長澤さんには申し訳ないけれど、やっていけません。』



――『あのガキの演奏聞いたか?バケモンだ。』

  『怖いくらいだよな……。次元が違うんだよ。』








……ズキッ。





頭痛がする。


まただ。

あぁ、思い出したくない。

気を紛らわせるためにヘッドフォンで耳を塞ぐ。




家に着くころには痛み引いていた。ただ、疲れがひどい。いつもはこんなにならないのに。くっそ、あいつらが思い出させるから。



「………もう、思い出したくない……。」




人はある程度の攻撃には耐えることができる。

でも、それが限界を越すと、ぷつっと糸が切れるんだ。

そうすると、感情が消え去って、



虚無感しか残らなくなるんだよ……。