Dying music 〜音楽を染め上げろ〜




大きなミスもバラけもない、観客のノリも上々。ここまで順調だ。ただ、体力的にもみんな疲れてくるころだ。僕もさっきから肩が痛い。指をほぐすために両手でグーパーを繰り返した。コックピットでは少しを音質を変えるから足元でエフェクターを操作する。





呼吸を整える。


……次が最後の曲。みんなが準備できたのを確認すると、怜斗が曲の紹介に移る。



「続いてが最後の曲です!この曲はすっごく難しくて、僕らも何回も練習しました。考えが合わなくてちょっとした衝突もあったりして(笑)」



リハのあとも練習しまくった。正直コックピットに関してはしっかり出来上がったわけじゃない。所々ズレてしまうところは妥協した。できるところはしっかり、そうじゃないところは全力で。



「体育祭、文化祭、友情、恋愛…青春感を感じさせる、最高の曲です。…みなさん盛り上げてください!コックピット!」



全員、今日一番の真剣な顔で楽器を構えた。



カッカっカッカっ!!



♪♬♬~♪♪ッ♬♪♪♪♪!!!!♬♪




コックピット。




4分間ちょっとのこの曲に青春が全部詰まっている。公式のMVは1億回再生を突破。みんなが主人公。みんなが主役。ピアノの部分はギターで代替し、できるだけ原曲に近づけた。


今年最後の学校イベントである文化祭。


夏が終わりかけているこの時期に、最後はしゃぎまくろうよ。



♪~♪♪♬―!♪♬♪!♪♬



この曲のいいところは全パート見せ場があることだ。ドラムの乱打、ベーススラップ、ギターソロ。それぞれの音が単体でも目立つ。



―「僕らの過ごしたこーのー夏はー!!」



サビに入ると観客との一体感は最高潮にまで達した。怜斗が曲中、観客に手拍子を求める。すると要求の数倍の勢いで、掛け声と一緒になって返ってきた。




♪♪ッ♪♬♪―!ー♪♪ー!♪♬!




ドラムが少し走り気味になっている……。

怜斗もちょっとピッチズレてきちゃったか?この場でズレるとサビ前が危ない。どうにかして涼に伝えないと…




ぱちっ。


「………………」






恭也が涼の方を向き、口を動かし、何か話している。



♪ー♪ーッ!♬♪ー♪♬ー!


するとドラムが正しいリズムに戻ってきた。ピッチのズレを伝えてくれたんだ。


恭也!お前!ナイスアシストすぎ!