Dying music 〜音楽を染め上げろ〜





「みんな早くない?」





12時前だというにもかかわらず、もう全員揃っている。僕が一番遅かったのかよ。




「ソワソワして落ち着かないからさ!」



怜斗がおにぎりを食べながらそういった。


現在時刻11時55分。昼食のあと、そこから練習とリハ数回。身支度などもして13時30分に楽器を体育館に移動。ステージ裏に楽器の準備をして、14時からの本番を待つだけ。





🎶~~♪~…






みんないつも通りにチューニングをしてそれから合わす。…いいね。リハだけれど音もいいし安定している。よくここまで仕上げたなと、本番前にも関わらずしみじみしてしまうほど。恭也とのところもいい感じ。初期の頃より全然いい。多少のズレはあるものの、形にはなった。







「緊張する…。」

「…そうだな。フェスの時は知らない人ばかりで人目気にせず弾けたけど、今回は学校の人の前だからな。」



僕のこぼした言葉に恭也も答える。1年だけで部活作って、ステージ立つんだもん。そもそも軽音楽部できたのなんて全校生徒のほとんどが知らないんじゃないか?この文化祭で初お披露目だよ。ダンス部や筝曲部、吹奏楽部、書道部などは大人数でのステージ発表だけど、僕たちはたったの4人、しかも1年生だ。刻一刻と迫る時間に合わせて緊張度も上がってくる。




「シラけたらどうしよ…。」






………………っ、





涼の言葉に無言になる。あぁ~この緊張で何も話さなくなるやつ、バンドフェスと同じ雰囲気じゃん。思い出しちゃうって。





「おーい」



怜斗の呼びかけに振り向いた。



「ド緊張の真っ最中悪いんだけどさ、これ着けない?」



そう言って見せてきたのはカラフルな紐のようなもの。エキゾチック仕様の細かな柄に、毛先がフリンジのようになっている。



「ミサンガ。全員色違いの作ったんだ!」



ミサンガ……。突然の贈り物に3人であっけらかんとする。



「…こういうのって嫌だった?」



反応を見た怜斗が不安そうに聞いてくる。まさか。


「全然。嬉しい。」


そういってミサンガを受け取る。すごい、模様可愛い。こんな細かいの手作りしたんだ。



「お前すげぇ!めっちゃいいじゃん!」

「これ誰が何色とかあんの?」

「一応、涼が赤、恭也が緑、俺がオレンジで、夏樹が青。」



各自の楽器の色で分けてあるんだ。へぇ、これいいな。みんなで腕に括りつける。紐の長さを調節してお互いのミサンガを見る。一体感やば。



「ワンチームって感じ。ありがとな!」

「気に入ってくれてよかったぁ!」




緊張もせず、ずっとニコニコしている怜斗。その様子を見た恭也が、



「怜斗、バンドフェスのときとテンション真逆じゃん。」



と言う。確かに。前はうるさいくらいの奇声あげていたのに今日は何もない。どうしたんだろ。怜斗は少し考えるとこう話した。




「今は緊張ってよりかは楽しみって方が強い!だってあんなに練習したんだぜ?絶対いいものになるだろ。」






…やば。






その思考に思わず笑ってしまう。涼と恭也も、



「お前のキャラ嫌いじゃないぜ。」

「考え方ポジティブすぎ。」




と続けて笑う。怜斗のミサンガ効果で全員の緊張が和らいだ。