Dying music 〜音楽を染め上げろ〜






恭也と仲直りしたのが先週。


結局、僕らのこともあって3曲のうちコックピットだけリハーサルに間に合わなかった。そのほか2曲はギリギリ完成。楽器の位置、運ぶ時間、準備にかかる時間、MC、できることはすべて通した。


リハが終わったら楽器を上まで運んで、すぐにミーティング。




「音響はばっちり。準備も時間内に終わったし演奏も悪くなかった。ただ、しっかりお互いの音を拾えるように立ち位置をもう少し中央に寄せよう。怜斗のMCはアドリブにも対応できるようにしておこうぜ。」




最初はステージ全体を広く使って演奏する予定だったが、逆に音が分散されてばらつきがあった。観客を盛り上げるための小話やメンバーの紹介などのMCはボーカルである怜斗の担当。本番の客の状況で話も少し変えないといけないからそこら辺のプランも考えておく。






「ボーカルはどうだった?」

「問題なし。部分的に言うならサビかな。歌い出しが半音ズレるときがあるくらい。」





Cyanのことを話した利点は、怜斗にしっかりボーカルレクチャーができるようになったこと。声量は問題ないから、細かなテクニックと、息継ぎの仕方を一気に教えた。怜斗の飲み込みが早いおかげもあり、この数日間で歌にさらに磨きがかかった。




「ここ俺に合図くれない?タイミングずれないようにしたいから。」

「分かった。あとで1回やってみよう。」





2曲目のBメロ、恭也が遅れやすいから涼のドラムでカウントを取る。音で判断できるからいちいち目視で確認する必要がなくなった。




「あとはコックピット。」





今回唯一、リハで最後まで演奏できなかった「コックピット」。一番リハでやるべき曲ではあるが、ラスサビ前までしか弾けなかった。それに加えてクオリティが低い。





「恭也と夏樹、手応え的にはどう?」

「パートチェンジの箇所は問題ない。でも最後、2人とも弾けるようにはなったけど、いざ合わせるとどこかズレる。」




ギターのラストソロ。喧嘩前より息は合ってきている。タイミングやアイコンタクトもしっかり取っている。ただ、合わせるってことは2つの音が1つに聞こえないといけないんだ。ズレたらただの雑音。あと1週間。残る課題はまだまだたくさんある。このままだと総崩れだ。






「……追い込もう。」







授業が終わったら部室直行。さっさと準備して合わせる。内田先生に動画も録ってもらって全員で確認。





「夏樹。」




休み時間、恭也が3組に来た。




「珍しいね。どうした?」

「…放課後、自主練するけれど来るか?」




…!





「行く。」





恭也とも自主練習を重ねる。完成度はだんだん上がってきているのは確かなんだ。あとはどれだけミスらず、呼吸を合わせて弾くことができるかどうか。


何回も合わせる。何度も繰り返す。


僕は恭也よりも手が小さいから、大きく速く動かさないと間に合わない。これ、半音でもミスると違和感出ちゃうからだめ。今まではスピード感で何とか持ちこたえていたけど、完成度上げるならもっと一音一音丁寧に弾かないと。



絶対に間に合わせる。絶対。

もう逃げらんない。やるしかない。

各自自主練して、何度も合わせて。
















そしてついに迎えた――