Midnightでのステージ。1か月以上も立たないなんてそれこそ入院の時以来だ。
そして、みんなの前で初めてCyanとして歌って弾くんだ。
…緊張する。
お客さんたち、どう思うのかな…。
………………違う、な。
音楽は誰かに評価されるものじゃない。
誰かに制限されるものでもない。
音色に終わりなんてない。
上手くなるように練習することもいい。
けれど。
音楽は自分自身が楽しむことが一番なんだ。
師匠から衣装をもらう。グレーのカーゴパンツとチェーンがついているパーカー。うわ、お気に入りのやつじゃないか。テンション上がるね。
ギターのチューニングを終え、声出しを始めた。
「あ“~あ”あ“ぁあ~―あ……」
リップロールをしてエッジボイスを出しながらの音階調節。それからは滑舌練習。弾き語りを始めたときに師匠から教わったウォームアップを今も欠かさず続けている。喉の開閉の確認。しっかり温めたあと、やっと歌う。
♪♬♪♪♬♪~~~
湿った感じの少しエッジが効いている自分の歌声。
めちゃくちゃ嫌いだったなぁ。だって合唱のとき先生に「女子パート一緒に歌ってる男子誰?」って言われたことあるんだよ。喋っているときは普通なのに歌うと癖が出ることが大嫌いだった。わざと高く歌っていた。
それが今ではCyanとしての歌声になっている。唯一無二の自分の声。このことを昔の自分が知ったらびっくりするだろうな。
「出番だ。」
シアンブルーのギターを持って通路を進んだ。
小さい頃は長く感じた通路、重いと思った機材、怖いと思ったステージ。
だが今は、
短く感じる通路、お気に入りになった機材、それから――
