数日後、ご飯を食べて、制服を着ていつも通り登校した。でも今日向かうのは教室じゃない。
人目につかない北側の屋上。
遺書は用意した。
いじめてきた人間の名前
されたこと
苦しさと悲しさ
家族への謝罪
便箋3枚にびっしり書いた。
死んでしまえば楽になれるって思った。苦しみから解放されるし、こんな思いしなくていいって。
飛び降りるとき最後に何が見えるんだろう。
そんなことを考えて柵に手をかけた。
立ち入り禁止の柵の外に出る。
前を遮るフェンスがなくなって身体全体に風が当たる。
風が冷たい。
もうすぐ冬なんだ。
そんなことももうどうでもいいな。
僕はこの世から消えるんだから。
足を出そうと一歩踏み込んだ。あとは飛ぶだけ。
「………っ。」
あと5センチ。
あと5センチ前に出たら、楽になれる。
足を動かす。
あと3センチ。
あと一歩…
「…………できない………っ……」
覚悟はできたのに、準備もしたのに。
死んで、あいつらに一生の罪を着せてやろうって。
お前らがどれだけ苦しめたのか分からせてやろうって。
けど、
できなくて………………。
怖くなって、
震えて、
涙が止まらなくて。
お母さんと家のみんなと、
師匠の顔が頭をよぎって涙が止まらなくて。
その場から動けなかった。
「何やってるんだ⁉」
たまたま作業点検に来ていた管理人さんに見つかって保健室に連れていかれた。
そこからは……確か、学校が急に早帰りになって
…連絡を受けたお母さんと師匠が来て……。
泣かれたのは覚えている。
