Dying music 〜音楽を染め上げろ〜









それからの学校は地獄だった。




入って来るなり花瓶の水をかけられる。ばしゃーっと床に水と花がまき散らされた。




「うっわきたねえ(笑)早く片付けろよ~…。」



クラスの男子も冷やかしてそういう。他の子は黙ったまま。こいつらが怖いんだろう。それもそうだ、クラスの中心的人物、教師にも反論するようなスクールカースト上位人間だ。誰も「やめなよ」なんて言えない。




「ほら、片付けろよ~?先生来ちゃうよ?」



ある時は放課後にグラウンド裏に引っ張られ、集団でリンチ。顔はバレるからと服で見えない腕や腹、足を何回も蹴られた。内出血の痕が沢山ついた。




「夏樹、この傷どうしたの⁉」



殴られたところを家族に見られることもあった。


「足も腕もどうしたの一体…」

「これー?今日さ体育でハードルあって思いっきりこけたんだよね。こことここ打撲で、こっちは切った。」

「お前どうしたんだよ(笑)」

「うわ、痛そう…気を付けなよ?」



お母さんも「まったく」と困ったように笑って手当してくれた。Midnightのステージにも立っていたけれど全然楽しくなかった。無の状態で歌ってる。ギターで失敗も増えて、ついには師匠までに心配された。



「夏樹、お前大丈夫か?」

「え…はい。」

「この間からおかしいぞ。ずっとぼーっとしていて生気がねえぞ?」


―心配かけたくない。我慢すればいいだけなんだから。



「大丈夫です、寝不足なだけです。」




到底、相談できなかった。辛かったことや吐き出せないことは自傷行為をして落ち着かせる。腕にカッターナイフやカミソリの歯を当てて切った。

血が出ても痛くなんかない。身体的苦痛よりも、精神的苦痛の方が大きかったから。

自分で解決すればいいと思った。



倉庫に閉じ込められた。

財布を盗られた。

根も葉もない噂を流された。

一緒にいたバンドマンの人と付き合ってるとか、

クラブに出入りしているとか、

そんなことも言われた。

そんな事実ないのに。

髪に黒色の絵具を塗られた。






この状態がずっと続いたある日、最悪な出来事が起こった。