「ってことはいつも使っているギターって、」
「うん。師匠から一番最初にもらったやつ。弦とか細かい消耗部分は修理したり変えたりしているけど、ボディとかは8歳からずっと一緒。」
壊さないように、丁寧に、メンテナンスもしっかり。当たり前のことを毎日やってきただけ。まさか8年ももつとは自分でもびっくり。レスポールやテレキャスターはそのあと揃えた。
「小5からステージって…すごすぎねぇか。」
驚いた様子で涼が言う。ぶっちゃけ、形としてちゃんと定期的に出せるようになったのは小6なんだけど。
怖かったよねぇ。大勢のお客さんの前で弾くんだよ。しかも一人で。声が小さいだの、リズムが間違っているだの何度も言われた。だから小5の頃は場慣れすることで精一杯で泣いた記憶しかない。
「ここからが歌い手の……Cyanの話。」
