恭也がそう鼻で笑った。
「イラついているからって雑になりすぎ。もうちょっとコントロールしたら?」
本人はそう付け加えた。
「………うるさい。」
「俺は思ったことを言っただけだ。」
「今は話しかけんな。」
イライラしているのは自分でもよく分かっている。自身のスランプ、Cyanとしての悩み、コイツらに当たっていいわけじゃない。そんなことくらい分かる。
「いじけてんの?イラつくとすぐ自分の殻に籠るよな。」
……恭也が煽ってきたり揶揄ってきたりするのはいつものことだ。でも、今日の言葉には「いつもの」感じがしない。棘のある言葉に腹が立つ。
「今日はいつにも増してよく喋るな。そっちこそソロできないからってイラついてんのバレバレだから。よく人のこと言えるよ。」
思ったことを口に出した。
「あ?」
恭也はギターを雑に置くと近づいてきた。
「2人とも落ち着け。今は言い合う場面じゃねぇよ?」
「怜斗の言う通りだ。冷静になって話そうぜ。」
いつもの口喧嘩じゃないと気づいた2人がガチトーンで止めに入ってきた。その場の空気が重くなる。
「今はコイツと話してんの。」
すぐに目線を戻して僕を見下ろす。
「で、何?俺がソロ出来ていないって?そのまま返すよ。いっつもサビ暴走して。速度くらい考えろよ。」
速度を考えろ?そんなの直接話してくればよかったじゃん。オーダーがあるなら言えよ。
「人のイメージが勝手に分かると思うなよ。そっちだって全然変わらないじゃん。アレンジ怖いからって逃げてばっかりだろ。」
そもそも何で合わすんだよ。もともとはギターパートなんだから恭也が1人でやりたいようにやればいいのに。全く会話もなしに合わすなんて無理に決まってるだろうが。
どんどん口論がヒートアップしていく。ギターのことだけじゃない。性格、練習、相手の悪いところを言い合うばかり。
「ちょっと一旦離れろって!」
「おい、ストップ!落ち着け!」
涼たちが間に入るが無視して言い合いが続く。
「じゃあ何でやらないの⁉思ってんならやればいいだろ⁉手ぇ抜くなよ!」
ついに怒りが沸点に達し、そう言った。そのとき体が勢いよく引っ張られた。
