「夏樹そこ違くね?」
「……ごめん。」
合わせていた途中で指摘され演奏を中断した。
また間違えた。同じところだけじゃない。みんなが聞いてすぐわかるような、大きいミス。
全体的に僕だけ音がズレてる。
走っちゃう。
周りの音を拾えない。
指が動かない。震えてしまう。
「夏樹、最近調子悪いだろ?どうした?」
「…悪くないよ。平気。」
平然を装って軽めに返事をする。でも落ち着かない。カッティングもミュートもビブラートも全部だめ。もう曲全体を完成させないといけないのに。イライラするし、焦っちゃうし、怖いし。カタカタと手の震えが止まらない。
「やっぱり一回休もうぜ?夏樹この間からずっと―、」
「だから大丈夫だって‼」
つい声を荒げた。
気づかれたくない。迷惑かけたくない。
今から調整しても意味ないじゃん。
部活の時間は限られている。
たくさん合わせたほうがいいだろ。
できない自分が悪いんだ。
家で足りない部分を補えば大丈夫。
イラつきを感情に出すな。
雰囲気を乱すな。
ギターの構えに入ろうとしたときだった。
「ダッサ(笑)」
