Dying music 〜音楽を染め上げろ〜


廊下から大きな音がして演奏を止めた。





人影 ………。





「誰?」



扉の方向に向かって声を出す。が、出てこない。隠れても無駄じゃないか?見えてるんだから。


「誰かいますか?」


色葉がもう一度聞いた。すると扉がゆっくり開いて一人の男子生徒が入ってきた。短髪で背の高い人。そしたら「絆創膏貰いに来ました」って。そこまではいいんだよ。問題はそのあと。


「ちょっと中入ってもらってもいい~?」


浪川先生??入れるん??部屋の奥に行こうと席を立った。が、間に合わずそいつが入ってくる。



バチっ。



一瞬目が合った。すぐに逸らしたけれどそのあとも視線が刺さるのが分かった。


そりゃ見るか。多分、原因はこの髪の毛だろうな。僕の髪はみんなと少し色が違う。何だっけ、グレージュっぽいって言われたな。色素が薄めなんだよな。染めてないよ。地毛がこの色。初対面の人からはよく染めているの?って聞かれる。



「あざーした。」



帰った、と思ったのに。



「うおっ!」「っ……!?」



まさかの。こいつの他にもう2人入ってきやがった。目がクリッとした小柄な男子と、ネクタイを軽めに緩めた男子。2人は驚いてこちらとさっき入ってきた男子生徒を交互に見た。そして、



「え、誰!?」


と、目ん玉クリクリ男子がでっけぇ声で俺を指さして聞く。いや、こっちが誰だよ。あと指さすな。そのあとは何かぎゃいぎゃいしながら3人で出て行った。