ドアが開く。

後部座席から怜が降りてきた。

「沙羅、おかえり」

突然、私のことをぎゅっと抱きしめる。

「ちょっと!ここ外なんだけど…」

「俺のだ、って印。沙羅に変な虫が寄り付かないように」

耳元で囁かれ、抱きしめる力が強くなる。

怜の独占欲の強さに、顔が真っ赤になる。


怜の方からゆっくり離れてくれた。

ふくれっ面の私を後部座席に案内してくれる。

梓は助手席に座った。

「今日は圭介がいないんだね?」

「三宅が前に座るだろうと思って、置いてきた」

「わたしのために、ありがとうございます」

梓が振り返り頭を下げる。

怜は別にいい、と言って、私の頭を撫でたり肩を寄せたりくっつくことに専念し始めて、なんだかかわいい。


梓を家まで送って、バイバイをする。

そうして、私たちも家に帰った。