教室内は静かで、席は全部埋まってないけど先に着いた生徒は既に自主勉している。

「皆、もう勉強してる」

前の高校は授業開始直前までおしゃべりしたり、騒いでるヤツがいたり、全然雰囲気が違う。

「何かしら目的があって通ってる人が多いから、私も今から勉強するね。自由席なんだけど、沙羅ちゃんは隣座る?」

「もちろん!」

私も教科書を広げて勉強を始める。

そうして過ごすうち、チャイムが鳴り授業が始まった。



夜、すっかり外が真っ暗になった頃、定時制の授業が終わる。

「終わったー!梓帰ろうっ」

「早く帰って、寝なくちゃー」

眠そうに欠伸をする梓。

私は昼間自由時間みたいなものだから元気だけど、梓は仕事してるんだよね。

「本家で仕事しながら定時制に通って勉強するのって、大変そうだね」

私が気遣うように聞いてみると、

「大変だけどあとちょっとのことだし!全然頑張れるよ!」

元気な笑顔を作る梓には敵わないなって思う。


門に迎えの車が到着している。

周りの生徒たちは、黒塗りの高級車を避けるように離れているけど、一部女子生徒はちらちら見てる。


「すっごく目立ってる」

私と梓は苦笑い。

梓は行きにくそうにしてて、徒歩で帰ろうかななんて言い出したけど、私が手を引いて連れて行った。

「梓は早く帰って休まないといけないんだから、一緒に乗るよ」