「親父、お袋、俺たちをネタに笑いすぎだ」
照れ隠しをするように、ぶっきらぼうに言い放つ。
「あらあら、ごめんなさいね」
「コホン…真面目な話に戻そうか。沙羅ちゃんにとって踏み込まれたくないことかもしれないが、これまでの経緯や境遇などある程度把握している。その上で私たちは沙羅ちゃんの味方になりたいと思っており、結婚を認める。困ったことがあったらいつでも頼りなさい」
組長の言葉が嬉しかった。
実家のこと、白虎でのこと、どこまで隠すのか、言うべきか、自分でも分かってなかったから。
どう説明したらいいかも、纏まってなかったから。
「家族のこと、他も色々ありすぎて、どう説明したらいいか…分からなかったから、このままの私を受け入れてくれて感謝します」
「家族になったんだからかしこまらなくていいわよ、沙羅ちゃんって呼ぶから、私のことも是非名前で呼んでね」
「はい」
それなら静香さんって呼ぼうかな?
静香さんの表情は明るく朗らかで、最大限私に歩み寄ってくれてることが伝わる。
「それで入籍はいつするんだ?」
「沙羅の誕生日まであと10日。18になったら入籍する予定。籍を先に入れて、実家から守ってやりたい、結婚式は白虎の問題が片付いてからだな」
「了解した。怜、頑張れよ。大事なら守りきれ、必ずだ。沙羅ちゃんも、これからは一般人と違う扱いを受け、立場も変わるだろう。実際に静香も何回か狙われている、身の回りには十分に気をつけなさい」
本気で心配してくれてるみたいで、真剣にこちらを見つめている。
「ご忠告、ありがとうございます。気を付けます」
自分のこと心配してくれる家族がいる。
家族って、温かいんだね。
今まで持ってなかった沢山の感情を貰ってばかりで、いつかこの恩返しが出来るといいな。