嫌われ者の私、総長様に見初められる


「俺は普段にこやかな人間じゃないんだよ」

「そうなの!?」

「威厳がないと下の者になめられるからな、足元を掬おうとする奴は後を絶たない」

「極道って、やっぱり実力社会なんだね」

「ああ、だから表と裏で少々性格を使い分けている。その方が都合がいいからな。だから三宅も驚いたんだろう」

納得したものの更なる疑問が浮かぶ。

「じゃあ私に対しては表ってこと?」

「そんな訳あるか、素だよ」

怜はあきれた様子でツッコミをいれてきた。


「それなら安心した」

気が抜けたように表情が緩んでしまう。


「沙羅だって、ここじゃ雰囲気違う。圭介辺りにそそのかされたのかもしれないが、自分を使い分けていくつもりだろう、若頭の妻として」

「うっ…図星です」

「それが悪いこととは言わねえ、俺もやってるしな。だが素を晒せることの出来る友人は必須だ。ストレスでやられてしまうぞ」

「私も友達とか…出来るのかなあ」

考え込んでしまうと怜が三宅さんに話しかけた。

「三宅、年いくつだ?」

「17です。高校3年生ですよ」

「沙羅は今月半ばで18だ。同学年だな、それなら三宅の通う高校に編入したらどうだ」

「そんな気軽に編入だなんて…」

「組の中で友人を作っちゃいけない決まりはない。誰とでも和気あいあい状態は困るが、同じ学校で同い年ならいいんじゃないか。三宅は長いことうちに尽くしてくれて、信頼もある。もちろん、お互いの気が合えばで構わない」

「私でよければ…沙羅さまのサポートをお任せください」

三宅さんが恭しく頭を下げている。

「かしこまるんじゃない。ダチになってみたらどうだって言ったのにそれじゃ失格だ」

「すみませ…じゃなくて、分かった!よろしくね、沙羅ちゃん」

三宅さんはにこやかに対応してくれた。

頭の回転が速く、人の機微が分かる人だなと思う。

「よろしくね、えっと私も下の名前で呼ぼうかな?」

「梓って言うの、呼び捨てでいいよ」

「うん!」

初めて出来そうなお友達にワクワクした。

仲良くなれたらいいなって思った。