組員さんたちの行列を抜けると、玄関の前に控えていた女性が頭を下げ、扉を開けてくれた。
「おはようございます、怜さま、沙羅さま。組長と奥様のいる部屋までご案内します」
指を揃えて、ゆっくりお辞儀をしてくれる。
さっきの組員さん一斉挨拶のインパクトが大きかったが、丁寧な挨拶も印象に残るものなのだと思う。
「宜しくお願いします、えっと…」
「三宅ってお呼びください、お客様がいらっしゃるときは私が案内を担当してますので、以後お見知りおきくださいね」
「分かりました」
私が頭を下げると微笑んでくれた。
三宅さんは見た感じ私と年は変わらないように見えるけど、凛としてて綺麗な人だ。
ふと、物静かなことに気づく。
ここに到着してから怜は全然喋ってない?
普段との違いに戸惑うものの、三宅さんは気にしてないようで玄関扉を開けてくれた。
靴を脱いで、スリッパに履き替える。
組長と奥様がいる部屋までは遠かった。
通り道にある中庭が素敵だと思って怜に伝えた。
「そりゃ庭師が頑張ってくれてるからな、俺も昔からアイツの手入れする中庭が好きだ」
アイツ、と言いながら草の手入れをしている中年の男性を指さす。
私と会話を始めた怜はいつも通りで。
ここに着いてからニコリともしなかったから、どうしたのかと思ってたけど。
ふと三宅さんを見ると、驚いた様子だった。
「あの、なにか?」
「いえ、あの…」
怜を私を交互に見ながら、言いにくいのか口ごもってしまった。
さっきまでの凛とした雰囲気が崩れてしまって、こっちの態度も悪かったのかなと私もオロオロして素が出始める。
そんな様子に怜は苦笑いをした。
