授業が終わると柚子は友達とどこかへ行った様子。

私は柚子の机に置きっぱなしの教科書を取りに行った。



帰りの挨拶が済んだら足早に校舎を出る。

もはや日課で、少しでも早く学校から出たい。



時間を稼ぐようにのんびり歩いて、帰ったら夕飯を作ったり洗濯物畳んだり。

終わってから宿題しようと思ったら、目の前に同じ宿題用紙が置かれた。


「はやくやって」

柚子がこう言えば、先に柚子の分をやるしかなくなる。

柚子を優先しなければ家での居場所はない。


父は仕事で帰宅は遅く、母は柚子を溺愛しており、なんでも好きなようにさせている。

そんな柚子の言うことを聞かなかったら、ご飯抜かれたり風呂に入れなかったり、酷いときは殴られる。

とにかく理不尽な目に合うのが嫌で、波風立てないように毎日を送っている。