嫌われ者の私、総長様に見初められる


また室内にぽつんと一人になってしまった。

さっき言われたことをぐるぐる考えてしまう。


あの人は誰で、なんのために私を助けるようなことをしてるのか。

助けるなら柚子にしておいた方がメリットも大きいだろう。


疑問ばかり湧き上がってしまうけど、それでも自分を心配してくれている彼のことが、少し気になり始めていた。

考え事をしているうちに、またひと眠りした。


コンコン、ノックの音が聞こえた。

目を覚ますと室内は明るく、朝なんだと思った。

開いたドアの向こうには看護師さんがいた。


「おはようございます。沙羅様、気分はいかがですか?」

「様なんてつけてもらわなくっても、あの、さん付けとかで大丈夫です。」

様付けに驚いて、遠慮させてもらう。

「朝影様の……大切な患者さんですからそういうわけにはいきません」

何かを言いかけて、口をつぐみ、患者さんという表現を使う看護師さん。

朝景、というのが彼の名前なのかな。

これ以上言っても看護師さんを困らせるのだろうし、明日彼に頼んで様付けをやめてもらおうと決心した。


「えっと、気分は昨日よりいいです。」

「かしこまりました。体温と血圧測りますよ」

てきぱきと測り終えた看護師さんは部屋から出て行った。