「喋るのも辛そうだな、今は何も話さなくて構わないから、俺の話を聞いてくれるか?

喋らなくていいのなら、とゆっくりうなずいた。


「沙羅の症状だが、栄養失調と高熱だ。点滴をしてゆっくり休めば退院していいそうだ。」

名乗ってない名前を知られていることに驚いたけど、白虎や学校では悪いうわさが広まってる私は知ってる人は知ってるのかもしれない。

第二倉庫の地下室に来れたくらいだし、白虎の関係者…なんだよね?


「退院したら、俺の家に来い」

驚きで、ポカーンと固まってしまう。

「家には帰れないだろうし、白虎のせいでこんな目に合ってるんだ。一人歩きはまだ危ないだろう。解決するまでかくまってやるよ」


なんでこの人は私のことをこんなにも知っているのだろうか。

それとも白虎の手にかかれば個人情報なんて簡単に入手できるものなのかな。


「今日は帰る、この病室には白虎関係者は入らせねえように院長に伝えてあるから、安心して休め。明日迎えに来る。」

そう言い残すと手を振りながら名前も知らない男は部屋から出て行った。