君の心をみせて

「え、待ってそういうことだよね?」

「うん」

少しおいて興奮気味に言った希海にこたえる。

「えー!よかった!!」

希海と望由ははしゃいでいる。

その時斜め方向からの視線に気が付いて礼奈の方を見る。

礼奈は、よくやった、と言うように俺に笑いかけた。

(俺も、頑張ろう)

礼奈に笑い返しながらそう思った。

~彰side End~


私たち以外に誰もいない廊下。

枝野は私の手を握ったまま、走る。

ついていくのに必死になりながらも、夕日に透ける枝野の髪に見とれる。

廊下の突き当り、階段の踊り場まで来て、ようやく枝野は止まった。

「あ、ごめん」

思い出したように手を放す。