君の心をみせて

啓斗は一歩大きく踏み出して空を仰いだ。

「それで、あの不審者か」

「え?」

啓斗は俺の方に振り向く。

不審者、とは誰のことだろうか。

という顔をしている。

「お前だよ、高宮のこと見ないようにしてんのかなんなのか知らないけど、完全に不審者だよ」

「まじか」

啓斗は苦笑いをする。

「気を付けたほうがいいよ。まあ、周りから見てると面白いんだけど」

俺は肩を揺らして笑った。

鞄を持ち直して啓斗の右肩を軽くたたいて啓斗を抜かす。

啓斗も速足で俺に追いついて腕を肘で小突いて同じように笑った。

「じゃあな」

「またあしたー」

俺と別れた後の啓斗の後ろ姿を眺める。