私の乗るホームは解散場所から少し離れている。

昼間の駅前は人通りが多くて気を付けていないとはぐれそうだった。

前を歩く枝野が急に止まったと思うと振り向いて手を差し出した。

〔はぐれそうだから〕

声には出さず思考だけ。

人が多いから。

私も声には出さず、差し出された手に自分の手を重ねた。

再び歩き始める。

手をつないでいる分、枝野は歩幅を私に合わせてくれていた。

〔手、小さい。女の子の手だ〕

枝野の耳が赤くなっているのが見えて、心拍数が上がる。

途中横にあった窓に映る私の顔は赤く染まっていた。

こんな自分を、私は見たことがない。

この時、礼奈の言葉を思い出した。

すぐ見つけられる、ドキドキする。