小川さんが借りてきた洋画を見終わり、隣に座る彼女に視線を移すと、小川さんの目は半分閉じかけていて眠そうだった。
明日は平日で、俺も小川さんも仕事がある。
俺のほうは夕方からなので遅くなっても何の問題もないし、ここ最近はどんなにだるくても彼女に会うことにしているので寝不足には慣れきっている。
けれど小川さんはそうもいかないだろう。
時計を見るとそれでもまだ11時前だったけれど、
酒の入った小川さんのことを考えてそろそろ帰ることにした。
「あ」
テーブルの上のものを片付けようと立ち上がったとき、ふいに贈り物のことを思い出した。
玄関に立てかけたまま、そういえば忘れていた。
「どうしたの?」
思いのほか大きく出てしまった俺の声に小川さんは不思議そうに首をかしげている。
玄関に向かった俺は包みを手にし、部屋へ戻った。
小川さんはまだ首をかしげたままだ。
「小川さん」
「ん?」
「あの、これ、プレゼントに、と思って」
「え?」
「俺が選んだんで、趣味じゃなかったら申し訳ないんですけど」
言いながらソファに座る小川さんに包みを差し出すと、彼女はびっくりしたように手を伸ばして受け取った。
「プレゼント? 私に?」
「はい。大したものじゃないんですけど」
言いながら自分の言葉に少し笑った。
大したもの、なんて言わなくても、見ただけでそれが何かなんて直ぐに分かるような代物だったからだ。
「わぁ、嬉しい。ありがとう。見ていい?」
「はい」
小川さんは丁寧に包装を開いていく。
姿を現したそれに彼女の動きは一瞬止まり、そのあとで顔をほころばせた小川さんは首を持ち上げて「ありがとう」ともう一度呟いた。